社会人から視能訓練士を目指したい!働きながら学べる専門学校はあるの?

現在の仕事を続けながら視能訓練士を目指したいと考えている社会人の方もいるでしょう。この記事では、視能訓練士の専門学校に夜間部や通信制課程があるのか、社会人が学びやすい学校の選び方、学習と仕事の両立のポイントなどを解説します。

視能訓練士の専門学校に夜間部・通信制はある?

結論から申し上げますと、2025年現在、視能訓練士の専門学校に夜間部や通信制の課程を設けている学校は、残念ながらほとんどありません。視能訓練士の養成課程では、座学だけでなく、検査機器を用いた実習や病院などでの臨床実習が非常に重要な位置を占めています。これらの実習は、日中の時間帯に行われることが一般的であり、指導体制や実習先の確保といった観点からも、夜間や通信のみでカリキュラムを修了することは難しいのが現状です。

視能訓練士は、眼科領域における専門的な知識と技術が求められる国家資格です。乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の目の健康を守る重要な役割を担っており、その養成には充実した教育環境と十分な実習時間の確保が不可欠とされています。具体的には、視機能検査、斜視・弱視の検査と訓練、ロービジョンケアなど、多岐にわたる専門分野を深く学ぶ必要があります。これらの知識・技術を確実に習得するためには、教員から直接指導を受け、仲間と共に切磋琢磨できる環境が望ましいと考えられています。

そのため、社会人の方が視能訓練士を目指す場合、基本的には昼間部の専門学校に通うことになります。これは、現在の仕事を一度退職するか、あるいは休職するといった大きな決断が必要になることを意味します。しかし、社会人経験者を受け入れている専門学校は多く、年齢に関わらず新しいキャリアに挑戦する人々をサポートする体制が整いつつあります。

社会人が専門学校で学ぶメリットと注意点

社会人経験を経てから専門学校で学ぶことには、多くのメリットがあります。まず、明確な目的意識を持って学習に取り組める点が挙げられます。一度社会に出たからこそ、なぜ視能訓練士になりたいのか、将来どのような形で貢献したいのかといった具体的な目標が定まりやすく、学習意欲の向上につながります。また、社会人としての経験も大きな強みです。コミュニケーション能力やビジネスマナー、問題解決能力などは、専門学校での学びやその後の臨床現場でも大いに役立つでしょう。特に患者さんとのコミュニケーションにおいては、多様な年代や背景を持つ人々と接してきた経験が活かされます。

さらに、経済的な基盤がある程度築けている場合が多いのも社会人のメリットです。学費や生活費の見通しを立てやすく、腰を据えて学業に専念できる環境を整えやすいでしょう。中には、働きながら貯蓄をして学費を準備する方もいらっしゃいます。

一方で、社会人が専門学校で学ぶ際にはいくつかの注意点も存在します。最も大きな課題は、体力的な負担と学習時間の確保です。特に、久しぶりに本格的な学習に取り組む場合、若い学生と同じペースで授業を受け、課題をこなしていくのは容易ではありません。また、仕事と両立しながら学ぶ場合はもちろん、学業に専念する場合でも、年齢による体力の変化を考慮し、無理のない学習計画を立てることが重要です。

年齢的な不安や周囲とのギャップを感じることもあるかもしれません。クラスメイトの多くが高校卒業直後の若い世代である可能性があり、価値観や話題の違いに戸惑うこともあるでしょう。しかし、同じ目標を持つ仲間として、年齢に関わらず良好な関係を築くことは可能です。むしろ、社会人経験を持つ学生は、クラスの良い刺激となることも期待されます。

働きながら視能訓練士を目指すための学習計画

前述の通り、視能訓練士の専門学校には夜間部や通信制がほとんどないため、働きながら学ぶことは非常に困難です。基本的には、一度仕事から離れて学業に専念する形になります。しかし、どうしても経済的な事情などで仕事を完全に辞めることが難しい場合、アルバイトやパートタイムの仕事と両立しながら学ぶという選択肢も考えられます。ただし、その場合でも学業が最優先であるという意識を持ち、無理のない範囲で行うことが大前提です。

視能訓練士の養成課程は1年以上(多くは3年制)であり、その間の生活費や学費を考慮した現実的な資金計画が不可欠です。もし、仕事を続けながら資金を貯める期間を設けるのであれば、その間に視能訓練士に関する情報収集を進めたり、基礎的な学習を始めたりするのも良いでしょう。例えば、生物や物理といった科目は、視能訓練士の学習内容と関連が深いため、復習しておくことで入学後の学習がスムーズに進む可能性があります。

学業に専念する場合でも、効率的な学習計画は重要です。限られた時間の中で質の高い学びを得るためには、予習・復習の習慣化が鍵となります。授業で学んだことをその日のうちに整理し、疑問点を明確にしておくことで、知識の定着度が格段に向上します。また、グループ学習を取り入れたり、教員に積極的に質問したりすることも有効です。

モチベーションの維持も、長期にわたる学習期間を乗り越えるためには欠かせません。なぜ視能訓練士を目指すのかという原点を常に意識し、定期的に目標を再確認することが大切です。また、同じ目標を持つ仲間と励まし合ったり、適度な休息やリフレッシュを取り入れたりすることも、心身の健康を保ちながら学習を継続するための重要なポイントです。

学費支援制度や教育訓練給付金の活用

視能訓練士を目指す社会人にとって、学費は大きな関心事の一つでしょう。幸いなことに、社会人の学び直しを支援するための様々な制度が存在します。積極的に情報を収集し、活用できる制度がないか確認してみましょう。

代表的なものとして、専門実践教育訓練給付金があります。これは、働く人の主体的な能力開発やキャリアアップを支援するため、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を受講した場合に、受講費用の一部がハローワークから支給される制度です。視能訓練士の養成課程も、この給付金の対象となっている場合があります。支給を受けるためには一定の条件があり、受講開始前にハローワークでの手続きが必要です。利用を検討する場合は、まず自身の状況が支給対象となるか、希望する専門学校が対象講座を開講しているかを確認しましょう。

また、各専門学校が独自に設けている奨学金制度や特待生制度も活用できる可能性があります。成績優秀者や経済的に困窮している学生を対象としたものが多く、学費の減免や給付が受けられる場合があります。学校のウェブサイトやパンフレットで詳細を確認したり、オープンキャンパスや説明会で直接質問したりしてみましょう。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金も、多くの学生が利用している制度です。貸与型と給付型があり、それぞれ申し込み条件や返済の有無などが異なります。これらの制度を組み合わせることで、学費負担を軽減できる可能性があります。

その他、地方自治体が設けている奨学金制度や、医療機関が独自に行っている奨学金制度(卒業後に一定期間その医療機関で働くことを条件とするものなど)も存在します。情報収集のアンテナを高く張り、自分に合った支援制度を見つけることが大切です。

キャリアチェンジを成功させるための心構え

社会人からのキャリアチェンジは、大きな決断とエネルギーを必要とします。視能訓練士への道を成功させるためには、いくつかの心構えが重要です。

まず、明確な目標設定と強い意志を持つことです。「なぜ視能訓練士になりたいのか」「視能訓練士になって何をしたいのか」を具体的にすることで、困難に直面したときの支えとなります。また、一度決めたからには、最後までやり遂げるという強い意志も必要です。

次に、徹底した情報収集です。視能訓練士の仕事内容、将来性、専門学校のカリキュラムや雰囲気、卒業生の進路など、多角的な情報を集めましょう。オープンキャンパスへの参加や、現役の視能訓練士から話を聞く機会を設けることも非常に有益です。実際に自分の目で見て、話を聞くことで、より具体的なイメージを持つことができ、ミスマッチを防ぐことにもつながります。

柔軟性と適応力も大切です。新しい環境での学びや、年齢の異なるクラスメイトとの関係構築など、これまでの社会人生活とは異なる状況に直面することもあるでしょう。変化を恐れず、新しいことを吸収しようとする前向きな姿勢が、充実した学校生活を送るための鍵となります。

そして何よりも、ポジティブな姿勢を保つことです。学習の過程で壁にぶつかることや、不安を感じることもあるかもしれません。しかし、目標に向かって努力する自分を信じ、前向きに取り組むことで道は開けます。同じ志を持つ仲間や、サポートしてくれる家族、教員など、周囲の助けも借りながら、一歩一歩進んでいきましょう。

キャリアチェンジは、単に職業を変えるだけでなく、新しい自分を発見し、成長する機会でもあります。視能訓練士という専門職を通じて、社会に貢献したいという熱意があれば、きっと道は開けるはずです。転職後のキャリアプランについても、学生のうちから少しずつ考えておくと、卒業後のスムーズな移行につながります。

まとめ

社会人が視能訓練士を目指す道は、決して平坦ではありません。現在のところ、働きながら夜間や通信で学ぶという選択肢は限られており、多くの場合、仕事を辞めて昼間部の専門学校に通う必要があります。しかし、社会人経験で培ったスキルや明確な目的意識は、新しい分野での学習において大きな強みとなります。

学費の負担を軽減するための支援制度も複数存在しますので、積極的に情報を集め、活用を検討しましょう。そして何よりも、視能訓練士になりたいという強い気持ちと、キャリアチェンジを成功させるための入念な準備、そして前向きな心構えが大切です。

この記事が、視能訓練士という素晴らしい職業への一歩を踏み出そうとしている社会人の皆さんにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。あなたの挑戦を心から応援しています。